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- クアトロ|2022年の振り返りと今後の運用方針
● クアトロの2022年の年間騰落率は-10.9%に
● 主要中央銀行による金融引き締めが進むなか、幅広いアセット・クラス(資産)が価格下落に見舞われ、分散投資効果が発揮されにくい局面が続いたことが影響
● 円安によるプラス効果が限られたこともクアトロのパフォーマンスが振るわなかった一因
● クアトロ運用チームは、2022年の未曾有の運用環境から一転して、2023年はアセット・クラス(資産)間の分散投資効果が期待できる年になると想定
クアトロの2022年の年間騰落率は-10.9%に
クアトロの2022年12月30日の基準価額は11,102円となりました(図表1)。2022年の基準価額の推移を簡単に振り返ると、1月5日に年初来高値12,495円を記録した後、月間では3月、7月、10月、11月にプラスとなったものの、下落局面が多くなりました。このため、基準価額は2022年年間で10.9%の下落となりました。
2022年のクアトロのパフォーマンスが振るわなかった背景には、主要中央銀行による金融引き締めが進むなか、幅広いアセット・クラス(資産)が価格下落に見舞われ、分散投資効果が発揮されにくい局面が続いたことが挙げられます。
図表1:基準価額の推移
日次、期間:2013年12月12日(設定日)~2022年12月30日
※基準価額は1万口当たりで表示
※基準価額は信託報酬等控除後
未曾有の運用環境となった2022年
2022年は、世界的なインフレの高進とそれに対する米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとした主要中央銀行による金融引き締めの動きがあり、金融市場は、大規模な金融緩和によって支えられたこれまでとは異なる状況に直面しました。
一般に、金融引き締めが行われ、金利が上昇すると、債券価格は下落し、また株価収益率(PER)などのバリュエーション(投資価値評価)の調整を通じて株価も下落する傾向があります。FRBが利上げを開始したのは2022年3月ですが、これに先んじて金融市場では、FRBの金融引き締め転換が織り込まれ、年初から債券と株式がともに弱含む流れとなりました。足元では、金融引き締めが景気後退を招き、企業業績を悪化させるとの懸念も高まっており、これが株価の重しとなっています。
図表2は、米国株式20%および米国国債80%からなる「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の年間騰落率(米ドルベース)を、1920年から2022年までの103年分についてまとめたものです(上記の資産配分比率は、クアトロの低リスク特性を踏まえ、債券を多めに設定)。図表2には下位5ヵ年分の下落率を示していますが、2022年は-16.4%と、大恐慌時の1931年に記録した-18.6%に次ぐ下落率となりました。その意味で、2022年の運用環境は未曾有のものであったと言えるでしょう。
図表2:「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の年間騰落率の推移~1920年以降でみると大恐慌時の1931年に次ぐ下落率となった2022年
「低リスク型分散投資ポートフォリオ」は、資産配分比率が米国株式20%、米国国債80%となるように月次でリバランス
米ドルベース、期間:1920年~2022年、グラフ中の記載は下位5ヵ年分の下落率
※米国株式:GFD S&P500 Total Return Index(1920年~2021年)、S&P500種株価指数(配当込み)(2022年)
※米国国債:GFD米国10年国債指数(1920年~2021年)、ICE BofA米国10年国債指数(2022年)
※上記はあくまで試算であり、騰落率の算出に際しては、過去の売買実行可能性および運用管理費用や売買手数料、税金等の費用は考慮していません。
出所:グローバル・ファイナンシャル・データ(GFD)、ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
なお、2022年の特徴的な点として、急速な金融引き締めを背景に米国国債の下落率が大きなものとなったことが挙げられます(図表3)。
図表3:米国株式と米国国債の年間騰落率の推移~1920年以降、米国株式と米国国債が揃って下落したのは4回。2022年は米国国債の下落率の大きさが際立つ
米ドルベース、期間:1920年~2022年、下段グラフは米国株式と米国国債が揃って下落した年だけを表示
※米国株式:GFD S&P500 Total Return Index(1920年~2021年)、S&P500種株価指数(配当込み)(2022年)
※米国国債:GFD米国10年国債指数(1920年~2021年)、ICE BofA米国10年国債指数(2022年)
※上記はあくまで試算であり、騰落率の算出に際しては、過去の売買実行可能性および運用管理費用や売買手数料、税金等の費用は考慮していません。
出所:グローバル・ファイナンシャル・データ(GFD)、ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
(ご参考) 主要先進国・地域の政策金利の推移
日次、期間:2020年1月1日~2022年12月31日
※日本:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に適用する金利、米国:フェデラルファンド金利の誘導目標範囲上限、カナダ:翌日物金利、ユーロ圏:主要リファイナンス・オペ金利、英国:バンクレート、スイス:SNB政策金利、豪州:オフィシャル・キャッシュレート
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
主要な資産の2022年年間騰落率は円安によるプラス効果の度合いで明暗
主要な資産の2022年年間騰落率をみると、外貨建て資産については、現地通貨ベースと円換算とで大きな差が生じていることがわかります(図表4)。
図表4:主要な資産および為替レートの2022年年間騰落率
2022年年間騰落率の期間は2021年12月30日~2022年12月30日
※基準価額は信託報酬等控除後。換金時の費用・税金等は考慮しておりません。
※世界株式:MSCI全世界株価指数、日本株式:TOPIX、米国株式:S&P500種株価指数、ユーロ圏株式:ユーロ・ストックス50指数、金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格、世界国債:FTSE世界国債指数、世界国債(ヘッジあり):FTSE世界国債指数(円ヘッジ)、日本国債:FTSE日本国債指数、米国ハイイールド債券:ICE BofA米国ハイイールド債券指数
※指数はいずれもトータル・リターン・ベース(金価格および為替レートは除く)。
※投資対象ファンドによって基準価額に反映する日が1-2日異なるため、指数、金価格および為替レートは1営業日前ベースとしています。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
例えば、世界株式の2022年年間騰落率は、米ドルベースが-18.3%、円換算が-4.9%となりました。また、世界国債については、米ドルベースが-18.0%、円換算が-4.5%となりました。米ドルベースと円換算の騰落率の差は、米ドル・円が2022年年間で16.4%円安になったことによるものです。
為替が大きく変動した2022年の年間騰落率は、円安によるプラス効果の度合いで明暗が分かれました。クアトロについては、年間を通じて円資産(円建て資産や円ヘッジの外貨建て資産)比率を8割程度と高位に保った影響で、円安によるプラス効果が限られたことも2022年のパフォーマンスが振るわなかった一因として挙げられます。
今後の運用方針
クアトロ運用チームは、2022年の未曾有の運用環境から一転して、2023年はアセット・クラス(資産)間の分散投資効果が期待できる年になると想定しています。
債券(特に先進国国債)については、2023年は、金利上昇が終わりに近づくなかで、安定したリターンおよび株式と組み合わせた際の分散投資効果が復活すると想定しており、年間を通じて魅力的な投資対象になると考えています。一方、株式については、2023年前半は調整リスクに備える必要があると考えています。これまでの金融引き締めの影響から、今後、企業業績予想の下方修正が進むことが見込まれるためです。
投資環境の見極めに際しては、世界的な金融政策の動向および米ドルの動向を注視していきます。この観点で、新興国株式および新興国債券については投資環境の改善が進んだと考えています(先進国に対して先行した金融引き締めサイクル、魅力的な水準に達したと考えられる利回り水準、米ドル高の反転など)。その意味で、2023年はアセット・クラス(資産)間の分散投資効果のみならず、地域間の分散投資効果が期待できる年になると想定しています。クアトロでは、既に、アジア(除く日本)株式や新興国債券(為替ヘッジ)、現地通貨建て新興国債券への投資を開始しています。
FRBの金融引き締めサイクルが終了する局面では、米国投資適格債券への投資を検討します。
金については、インフレ率の高止まり、地政学的リスクの高まり、暗号通貨(これまで金への資金流入を妨げてきた一因)の弱さに加え、今後、米ドル安が進行する可能性などから分散投資の対象として魅力度が高まっていると考えています。
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