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- クアトロ|未曾有の運用環境に立ち向かう
● 未曾有の運用環境となった2022年
● 主要中央銀行による金融引き締めが進むなか、株式と債券が揃って大きく下落。クアトロにとっても分散投資の効果が発揮されにくい厳しい局面が続く
● 足元の厳しい運用環境は当面続く可能性があるものの、金融引き締めサイクルが終わりに向かうなかで、安定的にリターンを生み出しやすい環境に移行すると期待
クアトロの年初来騰落率は-9.81%に
クアトロの2022年10月5日の基準価額は11,240円となりました(図表1)。2022年の基準価額の推移を簡単に振り返ると、1月5日に年初来高値12,495円を記録した後、月間ベースでは3月と7月にプラスとなったものの、概ね下落基調となりました。10月3日に年初来安値11,098円を記録した後、小幅に持ち直し、10月5日時点の年初来騰落率は-9.81%となっています。
図表1:基準価額の推移
日次、期間:2013年12月12日(設定日)~2022年10月5日
ピンクの網掛け部分は2022年
※基準価額は1万口当たりで表示
※基準価額は信託報酬等控除後
2022年は主要中央銀行による金融引き締めが進むなか、幅広いアセットクラスが価格下落に見舞われており、クアトロにとっても分散投資の効果が発揮されにくい厳しい局面が続いています。以下では、2022年が未曾有の運用環境となったことを確認した後、今後の展望をまとめます。
未曾有の運用環境となった2022年
世界的なインフレの高進とそれに対する米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとした主要中央銀行による金融引き締めの動きがあり、金融市場は、大規模な金融緩和によって支えられたこれまでとは異なる状況に直面しています。
一般に、金融引き締めが行われ、金利が上昇すると、債券価格は下落し、また株価収益率(PER)などのバリュエーション(投資価値評価)の調整を通じて株価も下落する傾向があります。FRBが利上げを開始したのは2022年3月ですが、これに先んじて金融市場では、FRBの金融引き締め転換が織り込まれ、年初から債券と株式がともに弱含む流れとなりました。足元では、金融引き締めが景気後退を招き、企業業績を悪化させるとの懸念も高まっており、これが株価の重しとなっています。
図表2は、米国株式20%および米国国債80%からなる「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の年初から9月末までの9ヵ月間の騰落率(米ドルベース)を、1920年から2022年までの103年分についてまとめたものです(上記の資産配分比率は、クアトロの低リスク特性を踏まえ、債券を多めに設定)。実は、当該期間中で最も大きい下落率となったのが2022年です。図表2には大恐慌時やオイル・ショック時を含む下位5ヵ年分の下落率を示していますが、2022年は-18.60%と他を大きく引き離すものとなっています。
図表2:「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の年初から9月末までの騰落率の推移
~1920年以降で最も大きい下落率となった2022年
「低リスク型分散投資ポートフォリオ」は、資産配分比率が米国株式20%、米国国債80%となるように月次でリバランス
米ドルベース、期間:1920年~2022年(各年9月末まで)、グラフ中の記載は下位5ヵ年分の下落率
※米国株式:S&P500 Total Return Index、米国国債:米国10年国債
※上記グラフは各年の9月末までの年初来騰落率の推移です。例えば、1920年の数値は1919年12月末から1920年9月末までの騰落率を示しています。
※上記はあくまで試算であり、騰落率の算出に際しては、過去の売買実行可能性および運用管理費用や売買手数料、税金等の費用は考慮していません。
出所:グローバル・ファイナンシャル・データ(GFD)のデータを基にピクテ・ジャパン作成
2022年が他と異なる点として、急速な金融引き締めを背景とした米国国債の下落率の大きさが挙げられます(図表3)。
図表3:米国株式と米国国債の年初から9月末までの騰落率の推移
~1920年以降、年初から9月末までの期間で米国株式と米国国債が揃って下落したのは10回。2022年は米国国債の下落率の大きさが際立つ
米ドルベース、期間:1920年~2022年(各年9月末まで)
下段グラフは米国株式と米国国債が揃って下落した年だけを表示
※米国株式:S&P500 Total Return Index、米国国債:米国10年国債
※上記グラフは各年の9月末までの年初来騰落率の推移です。例えば、1920年の数値は1919年12月末から1920年9月末までの騰落率を示しています。
※上記はあくまで試算であり、騰落率の算出に際しては、過去の売買実行可能性および運用管理費用や売買手数料、税金等の費用は考慮していません。
出所:グローバル・ファイナンシャル・データ(GFD)のデータを基にピクテ・ジャパン作成
なお、期間を年初から9月末までに限定せず、高値から安値までとした場合にも、直近の下落率(2021年8月末~2022年9月末)は、大恐慌期(1930年5月末~1932年5月末)に次ぐ水準となっています(図表4)。
図表4:「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の直前高値からの下落率(ドローダウン)の推移
~大恐慌期に次ぐ水準となった直近の下落率
「低リスク型分散投資ポートフォリオ」は、資産配分比率が米国株式20%、米国国債80%となるように月次でリバランス
月次、米ドルベース、期間:1919年12月末~2022年9月末
※米国株式:S&P500 Total Return Index、米国国債:米国10年国債
※上記はあくまで試算であり、直前高値からの下落率の算出に際しては、過去の売買実行可能性および運用管理費用や売買手数料、税金等の費用は考慮していません。
出所:グローバル・ファイナンシャル・データ(GFD)のデータを基にピクテ・ジャパン作成
その意味で、2022年の運用環境は未曾有のものであると言えるでしょう。
債券利回りの上昇により分散投資の効果が復活へ
主要中央銀行による急速な金融引き締めに国際紛争が重なり、金融市場そして分散投資は未曾有の調整に直面しました。前述のとおり、2022年の「低リスク型分散投資ポートフォリオ」の騰落率(年初から9月末まで)は1920年以降で最大の下落率となったものの、未曾有の調整を経たこれからの運用環境は、国際分散投資を中長期的に実践するうえで好機とも捉えることができると考えています。割安なバリュエーション水準で質の高いポートフォリオを構築できる環境、また安定的にリターンを生み出しやすい環境に今後移行していくものと期待されるためです。
投資対象を分散し、効率的にリターンを獲得することを目指すクアトロのようなマルチアセット戦略にとって、債券利回りが一定の水準へと上昇したことは分散投資の効果が復活に近づいたことを意味します。歴史的な利回りの低下および低い水準からの利回りの上昇により、主要国・地域の債券が、ポートフォリオを保全する緩衝材としての機能を著しく欠いた局面が長らく続いてきました。しかしながら、インフレ抑制に向けて主要中央銀行が急速に金融引き締めを進めるなか、主として利回りが上昇した先進国・地域の長期国債は、ポートフォリオ分散を図るうえで魅力的な投資対象に回帰しつつあると考えています。
機動的なポートフォリオ運用が今後のパフォーマンス向上の鍵を握る
クアトロでは、FRBが、年内いっぱいか遅くとも2023年の早い段階で、いったん利上げを停止する可能性を視野に入れ、超長期債を中心に米国国債のデュレーションを引き上げるタイミングを見極めていく方針です。株式については、足元の厳しい運用環境が当面続く可能性もあるため、投資妙味が高まった戦略を選別しながらも、全体的には慎重姿勢を継続する方針です。市場が大きく反発するような局面が到来すれば、株式の組入比率をもう一段引き下げることも検討します。現金比率の調整を含めた機動的なポートフォリオ運用が今後のパフォーマンス向上の鍵を握ると考えます。
未曾有の調整を経た金融市場が今後どのような展開となるのか正しく見通すことは困難を極めますが、運用環境が目まぐるしく変化するなかでも、クアトロは、分散投資を徹底し、状況に応じて機動的に資産配分を変更することで、リスクを抑え、安定的にリターンを生み出すことを目指してまいります。
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